一生日本に住みたいなって思いました!


今日も青梅線拝島駅で他の電車の路線のために時間調整で五分も停車する。DCとでっかくロゴの入ったバッシュを履いたドキュンな感じの男がざっと席を立ち上がってジュースを数本自販機で買って帰ってきて、座席のシートに立って声を上げている子供の頬にぺたりと当てる。

向かいにはよく訓練されたタイプの外さないファッションを心がけたブサイクな男とその隣には白シャツと細身のパンツさえ履いていれば大丈夫だと思っているような表情をした小鼻の張った醤油顔だが性欲の強そうで綺麗な顔をした男が並んでいる。二人ともスマートフォンを見つめてる。

年寄りと年寄りみたいに地味な格好をした女二人がドアのボタンを押しながら乗ってきて空いた座席に座ろうとするが二人並んで座れる席はない。そこには中学生くらいの貧乏くさい格好をした男の子がスマホのソシャゲに夢中だ。年寄りみたいに地味な格好をして眼鏡をかけた女は、一緒に座りたいので場所変わっていただけませんかと年寄りの女が腰かけた隣に座っている少年に台本を通りによみあげるかのごとく話しかけた。男の子はひとつも言葉を発さずさっと俺の隣に座ってくる。その子のスマホの画面はバリバリに割れていた。

ドキュン男の周りにいる子供を含めた人々をよく見てみると、妙に体をひねって窓の外を見ている金髪の黒いワンピースの女の隣には女子プロレズタチ風の金髪ショートヘアでキャップを後ろ被りかぶったデブでブスだがハーフパンツとティーシャツから伸びる手脚がとても白くてツルツルしている女がいる。そして赤子と他人かのように少し雰囲気に違和感のある冷めた表情の標準的な女は一番隅にドキュン男を時挟んで左に座っていた。数えると1、2、、、えーと、男と女と子供とレズタチと女で1、2、さん、しー、ご、五人だ。

年老いた女は年寄りみたいに地味な格好をして眼鏡をかけた女に何かの作り方か出来かたのようなことを、朗々と御本を読み上げるかのごとく一方的に話しかけ続けている。相手はさも感心したかの様子で頷き続けているだけだ。

ツイッターからは、3日前に地下鉄で落とした鍵とパスケースが帰ってきたという報告の通知が来た。一生日本にいようねって思った。拾得物収集センターに集まっている私物を取りに行ったのに行き帰りの切符をくれるという感動した報告。それなのにその子は名古屋から離れて東京で仕事でもしないと根性腐るかもしれないとか言ってるんだ。

ふと全員の靴を比べてみたが、一番手入れのされた綺麗な靴を履いているのは、向かいに座っているよく訓練されたタイプの外さないファッションを心がけたブサイクな男だった。ドキュンたちはどうしているかというと、男がみんなにジュースを買ってきたあとの幸福な雰囲気はもうなかったかのようで、標準的な少し標準より上の容姿の女に、濃く彫りの深い肉体労働者の雰囲気を醸し出した男がしなだれかかりながら半分眠りに落ちそうになっている。その隣にはレズタチが不機嫌そうな顔をしてまっすぐ窓の外を見ていて、赤子を挟んで体をひねって背中側の窓の外を見ている黒いワンピースの金髪の女がさっきと変わらない姿勢で座っている。

僕は鬱々とした音楽を聴き始めたのでもう会話は聞こえない。三鷹ではたくさんの人が乗ってきて視界に入ってくるのはナチュラルカラーのマルチボーダーのロングスカートだけだ。なんと非常にこなれた情景だろうか。