カニチャーハンの話じゃないよ

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かにチャーハンの店 ecute立川店 - 立川/中華料理 [食べログ]

ババアと娘がカニチャーハンを食べに来た。ババアと娘は海鮮五目かにチャーハンと普通のカニチャーハンをそれぞれ頼んでいた。それを少し分け合いながら味見するとか言うのが彼らにとってのモラルなのか善なのか。きっと善行だとおもっているのだろう。一言喋ってはガサゴソ一言喋ってはガサゴソと皿を入れ替えながら、うるさいくらいにテンポよくババアと娘にとっては音楽を奏でるが如く美しい振る舞いをしているかのような雰囲気をババアと娘は醸し出しながらザッザッザッザッザッっと動くのだ。

「これあげる」ガサっ「これ食べな」ガサっ「私食べた」ガサっ「もうあげる」ガサっ「いいから食べなよ」ガサっ「今入れたのエビでしょ?食べなよちゃんと」ガサっガサっ「いやイカだから食べて」ガサっ「イカなんか要らないわよ」ガサっガサっ

「これあげる」ガサっ「これ食べな」ガサっ「私食べた」ガサっ「もうあげる」ガサっ「いいから食べなよ」ガサっ「今入れたのエビでしょ?食べなよちゃんと」ガサっガサっ「いやイカだから食べて」ガサっ「イカなんか要らないわよ」ガサっガサっ

何が彼女らをどうしてそうさせるのか、彼女らはどうしてそんなに仲良しなのか、仲良しのふりをしているのか、実際に自分たちの関係について他人の様子とくらべたことはないのか、自分とは違う異形のものたちの蠢きに恐怖を感じていた。

どうして人は異形の者に対して恐怖を抱いてしまうのだろう。生き死にの問題だからだろうか。

そしてぼくの中では、ぼく自身が外見の美醜によって人を判断してしまうような心の狭さを持っていることと、それが外に現れてしまうことに対する恐怖と、社会生活を行うことと、モラルと、ハラスメントと、自分の心の中に見えているものは外には見えていないだろうと言う安心感と、カニがぐちゃぐちゃになって怖くなって、ぼくはカニチャーハンを食べるのを途中でやめ、レンゲをカウンターの中に向かって投げ込み、走り逃げ出し、東京方面中央特快に駆け込んだ。